「部活ではレギュラー入りや勝負がかかっていて、自分の体調不良を言い出せない環境に置かれている子は少なくない。本人からの申告は期待できず、重症化して初めて周囲が気づく。健康な人にも重大な死亡事故が起きる危険性が潜んでいる」

 指導者や教員がしっかり目配りし、休憩や水分補給を意識的に多く取ることや、場合によっては中止の判断が必要だ。

 朝日新聞などの報道によると、愛知県豊田市で、校外学習の後に熱中症で死亡した小学1年生の男児は、学校を出発して1キロ先の公園へ行く途中、「疲れた」と口にしていたという。

「『疲れた』というのは熱中症のサインです」

 小児科医で、子どもの傷害予防に取り組むNPO法人「Safe Kids Japan」理事長の山中龍宏さんは言う。

「小学校低学年ごろまでは、自分の体調の異変に気づき、伝えるのは難しい。大人がしっかり様子を見ることが大切です」

 また、子どもの様子がいつもと違うとき、「大丈夫?」と尋ねてしまいがちだが、子どもはオウム返しに「大丈夫」と答えてしまうことも。「どこか痛いところはある?」「ゲーしそう?」などと具体的に聞いたほうがいい。

「子どもは遊びに夢中になって無理をしてしまうこともある。口数が少ない、歩くのが遅いなど普段と違う様子があれば涼しい場所に休ませて水分補給をさせてほしい。子どもの命を守るのは大人たちです」

(AERA編集部・深澤友紀)

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