Gaspard Ulliel/1984年パリ郊外生まれ。17歳で映画デビュー。「ハンニバル・ライジング」で若きハンニバル・レクターを演じ世界的にブレーク。シャネルのフレグランスのCMでも有名
Gaspard Ulliel/1984年パリ郊外生まれ。17歳で映画デビュー。「ハンニバル・ライジング」で若きハンニバル・レクターを演じ世界的にブレーク。シャネルのフレグランスのCMでも有名
「エヴァ」/監督はユペールの盟友で「マリー・アントワネットに別れをつげて」のブノワ・ジャコー。全国で公開中 (c)2017 MACASSAR PRODUCTIONS - EUROPACORP - ARTE France CINEMA - NJJ ENTERTAINMENT - SCOPE PICTURES
「エヴァ」/監督はユペールの盟友で「マリー・アントワネットに別れをつげて」のブノワ・ジャコー。全国で公開中 (c)2017 MACASSAR PRODUCTIONS - EUROPACORP - ARTE France CINEMA - NJJ ENTERTAINMENT - SCOPE PICTURES

 AERAで連載中の「いま観るシネマ」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき作品の舞台裏を監督や演者に直接インタビューして紹介。「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しい1本をセレクトしています。

【「エヴァ」のワンシーンはこちら】

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■いま観るシネマ
 シャネルの男性フレグランス、ブルー・ドゥ・シャネルのイメージスターとして、繊細なルックスで世界の女性を魅了し続けるギャスパー・ウリエル。22歳の時に「ハンニバル・ライジング」でハリウッドブレークした。フランスを代表する若手俳優として活躍する。

 新作「エヴァ」(ブノワ・ジャコー監督)で彼が演じるのは、誰にも明かせない過去の秘密をもった新進作家の主人公・ベルトランだ。

「彼は一見冷たい人間のように映る。それは真実を暴かれないため、人との距離を置こうとする手段なんだ。彼は下層階級の出身で成功して世で認められた。しかし、心の底には中流階級への復讐心と抑えがたい怒りがある」

 と主人公について語る。

 この彼の前に現れるのが、謎めいた年上の高級娼婦エヴァだ。そして彼はこの女性に異常なほど好奇心をかき立てられるのだ。なぜだろう?

「作家としての壁にぶち当たっていた彼は、彼女こそ新作の素材にもってこいだと思った。次第に彼女は自分と同類の人間だと感じる。嘘つきで、誰かになりすましている2人は似た者同士、彼は鏡を見ているような気持ちなんだろう」

 とその心理を分析する。

 男女の関係を描いているが、これは恋愛ドラマではない。原作はハリウッドを舞台にした英国作家ジェイムズ・ハドリー・チェイスの推理小説だ。

「実際に起こったのか、それとも空想なのか……。この映画は常にそれを問いかける。そのミステリーが鍵なんだ。僕は映画とはミステリーなんだと思う。シネマとは真実を語る大きな〓であるとね」

 エヴァを演じるのはイザベル・ユペール。「THE SEA WALL」で母子を演じて以来、10年ぶり2度目の共演となる。

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