アナキスト団体と女相撲、関東大震災後の混乱期を描く映画「菊とギロチン」瀬々監督インタビュー (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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アナキスト団体と女相撲、関東大震災後の混乱期を描く映画「菊とギロチン」瀬々監督インタビュー

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小柳暁子AERA
瀬々敬久(ぜぜ・たかひさ)/1960年大分県出身。京都大学在学中から自主映画を制作。主な監督作に「感染列島」(2009)、「ヘヴンズ ストーリー」(10)、「アントキノイノチ」(11)など(撮影/写真部・東川哲也)

瀬々敬久(ぜぜ・たかひさ)/1960年大分県出身。京都大学在学中から自主映画を制作。主な監督作に「感染列島」(2009)、「ヘヴンズ ストーリー」(10)、「アントキノイノチ」(11)など(撮影/写真部・東川哲也)

「菊とギロチン」は木竜麻生、東出昌大、寛一郎、韓英恵ほかが出演。テアトル新宿ほかで全国順次公開中。配給:トランスフォーマー (c)2018「菊とギロチン」合同製作舎

「菊とギロチン」は木竜麻生、東出昌大、寛一郎、韓英恵ほかが出演。テアトル新宿ほかで全国順次公開中。配給:トランスフォーマー (c)2018「菊とギロチン」合同製作舎

 瀬々敬久監督の新作「菊とギロチン」が映す現代日本米騒動から100年、全共闘運動から50年──。日本にもかつては異議申し立ての時代があった。そんな記憶を召喚する映画が公開されている。監督に聞いた。

【「菊とギロチン」の女相撲一座の写真はこちら】

*  *  *
 女相撲の一座とアナキストの青年たちが、大正末期、関東大震災直後の不穏な社会情勢の中で運命的に出会う──。

「8年越しの花嫁」「友罪」などの話題作を次々に発表している瀬々敬久監督の新作は、アナキスト団体「ギロチン社」など実在した人物や団体が登場する、史実をもとにしたフィクションだ。

「以前からギロチン社で映画を作りたいと思っていましたが、観念ばかり先走る彼らだけでは難しいと思っていたときに、女相撲を知りました」

「ギロチン社」の青年たちは、アナキストとはいえ企業恐喝などで得た資金を遊蕩で使い果たしてしまうような、いわば“チンピラ”。歴史に名を残す英雄的な活動家ではなく、軍国主義を強める世相の中で自由と平等を求めてもがき、メンバーの中濱鐵や古田大次郎は死刑台の露となって散っていった。

 一方、女相撲は江戸末期から人気を博し、1880(明治13)年頃に山形県で石山兵四郎らが興行女相撲を創業。最盛期には四つの女相撲一座があり、日本中を巡業するようになった。「風紀を乱す」などの理由で官憲の取り締まりの対象でもあったが、興行は盛況でハワイや朝鮮など、海外巡業も行われた。

「虐げられていた女性が、女相撲を見て自分も強くなれると思い、家出同然に一座についていったケースもあったといいます。いわば女性たちの自己実現。ギロチン社と女相撲、自分や社会を変えたいと思っている若者たちの物語二つをドッキングしたら、大きな物語にできるのではないかと思いました」

 監督の中では1980年代から構想があったが、何度も練り直した脚本が形になったのは東日本大震災後。震災以降に加速した特定秘密保護法や「共謀罪」法の成立といった国家権力強化の流れと、関東大震災後の軍国主義化の流れが似ていると思った。


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