絵本や児童文学を今でも読み返すという、直木賞作家の中島京子さん。お気に入りの絵本を紹介した『ココ・マッカリーナのしみこむしみこむえほん』や『ハブテトル ハブテトラン』という少年少女小説を出している。
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「佐藤さとるさんの『だれも知らない小さな国』は、子ども時代に読むと、世界観が変わる作品だと思います。せいたかさん、と呼ばれる主人公は、子どもの頃にコロボックルを見ますが、戦争をはさんで、大人になってから、懐かしい場所に戻ってくる。主人公は子どもではないんですよ。コロボックルは自分たちの正体を明かす人間を選ぶと、長い時間をかけて、信頼するに足る人間かどうか確認します。というのも問題が起こった時、その人に頼んで、解決してもらうから。せいたかさんはコロボックルに選ばれたんです」
コロボックルの暮らす世界はユートピアではない。自然環境の破壊や公害など、私たちが生きる社会の問題が襲いかかってくるのだ。
「子どもの頃に、このお話を読んだおかげで、今でも私は、コロボックルがいると信じています。まだ、姿を見せていないだけなんですよ」
2冊目はマーク・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』。ヘミングウェーをはじめ、アメリカの作家たちが、「アメリカ文学はここから生まれた」と絶賛してきた作品だ。