平成の世も終わろうとする今、こうした形での目に見えないグループが商社という業界全体で縦横無尽に張り巡らされているという。これが日々の商社員としての仕事にもいい影響をもたらすというのだ。

「あうんの呼吸でわかりあえる仲間が社内外にいれば、日々の仕事も円滑に進むというものです」(夫)

 ライバル社ではあるものの、大がかりなプロジェクトでは、ときに手を携えることもある商社業界では、社を超えた「仲間」がいることは大きなアドバンテージとなる。

 高校や大学の同窓、就活時に知り合った同業他社の同期といったつながりとは異なる「何か」を数多く持つ者ほど、存在感のある商社員として活躍の場が増える──そう考えるのは、この元商社勤務にして商社員妻の例にもみられるように、いまや「商社の女」の側だ。

 対して「商社の男」は、防大生の就活に尽力した商社員夫がたびたび口にする「心地よさ」といった仕事での「快適さ」、アメニティーを求めている。(文中カタカナ名は仮名)(ライター・秋山謙一郎)

AERA 2018年7月23日号より抜粋