〈SLはファイナンスの救世主であり、日本をいきいきと蘇らせる起爆剤になる〉

 maneo社の創業者で元銀行員の妹尾賢俊氏は自身の著書にそうつづっていた。同社サービスが日本初のSLとして始まったのは2008年10月。リーマン・ショックで資金繰りに苦しむ起業家や中小企業に対し、中リスク融資で成長を後押しするのが主眼だった。融資先の社長や従業員にじかに会い、倉庫の在庫も確認するなどして「審査は一件一件徹底的に行い、妥協しない」ともPRしていた。

 だが、日本銀行の超低金利政策は長期化。銀行は融資先を奪い合い、1%以下の金利でも貸し手が見つからない有り様だ。

 今のmaneo社は社長が代わり、サイト上では新規事業の将来成長性よりも、不動産転売や自然エネ開発によるサヤ抜きを当て込んだ資金調達が目立つ。maneo社が自ら目利きする投資案件に加え、他のファンド運営業者が手がける投資案件も紹介して手数料を稼ぐプラットフォーム化も進めてきた。今回、資金の目的外使用を認定された自然エネ開発会社も、そうした外部業者の一つだ。

 監視委からは、資金使途をよく確認していなかったと指摘されたmaneo社。即座に「全社をあげて再発防止に取り組む」との声明を出したが、資金の不正流用を見抜けなかった理由や今後防ぐための具体的な手立てについては触れなかった。(朝日新聞記者・藤田知也)

AERA 2018年7月23日号