独自の「サイエンティフィック・リサーチ」で、中1は近隣の泉ヶ岳に行き、フィールドワークを行う。「我々の木」を決め、季節を変えて3回訪問し、植生の観察や化石の発掘、星の観察などを通して基本的な実習や探究活動の技法を学ぶ。2年になると石巻に出かけ、東日本大震災で被害を受けた北上川の下流で、NPO法人のスタッフらと一緒にヨシ原の再生に取り組む。

 3年ではグループで実験・観察を行い、ポスターにまとめてプレゼンする。糸電話の糸を縦にしたり横にしたり、長さを変えたりしながら音の大きさを測っているのは、男女混合の4人。リーダーの渡部魁人さんは「子どものころ遊んだ身近な糸電話から、音についていろいろ調べたいと思いました。実験は楽しい」と話す。穂積尚子さんと千田ちひろさんは、真冬の雪道で滑りそうになったことから、融雪剤に含まれる成分の効き目を実験していた。発泡スチロールの保温効果、でんぷん糊の製作、片栗粉を使ったダイラタンシーの実験など、生徒は日常生活から、テーマをすくい出していた。

 高校では学校設定教科「SGH課題研究」を行う。1年では東北地方の水問題をテーマに北上川の源流をたどり、岩手県の八幡平でフィールドワークをする。後半の授業では大学教員の協力も得て、治水、健康、生態系などをテーマにゼミ形式で学習する。2年からはIIA、IIBに分かれ、IIAは自分で設定した課題に取り組む。希望者はメコン川のフィールドワークのためカンボジアに出かけている。3年でも研究を続ける生徒が十数人いる。

受験勉強と、探究活動を両立させるのはかなり厳しい。一方で勉強のモチベーションになっている面もある。メコン川の水を浄化するために薬剤を使った研究を深めたいと、医学部を志向する生徒もいます。今年は、研究活動で力をつけ医学部のAO入試に合格した生徒もいました」(坂田真理子進路指導部長)

 同校は10年に宮城県第二女子高校を母体として開校した。1期生が卒業した16年には東大合格者を8人輩出し、現役合格者で東北地方のトップに躍り出た。医学部志向の生徒が増え、18年は東大合格者はいなかったものの医学部に16人合格。東北大学にも医学部の6人を含む24人が合格している。(ライター・柿崎明子)

AERA 7月16日号より抜粋