【充実の授業で難関大へ】朋優学院高校/2001年に共学化し校名を変更。個々に合わせた進路指導に加え、放課後特別講座や長期休暇の講座、勉強合宿で難関大実績が急上昇(撮影/ライター・柿崎明子)
【充実の授業で難関大へ】朋優学院高校/2001年に共学化し校名を変更。個々に合わせた進路指導に加え、放課後特別講座や長期休暇の講座、勉強合宿で難関大実績が急上昇(撮影/ライター・柿崎明子)
【独自の「未来考動塾」】保善高校/都内で3校だけの単独男子校。特別進学クラスに導入された「未来考動塾」で、思考力や記述力、プレゼンテーション力を育てる(撮影/ライター・柿崎明子)
【独自の「未来考動塾」】保善高校/都内で3校だけの単独男子校。特別進学クラスに導入された「未来考動塾」で、思考力や記述力、プレゼンテーション力を育てる(撮影/ライター・柿崎明子)

 今、東京都の高校入試では私立シフトが起こっている。大きな原因とみられるのが、都の助成金制度による私立高校授業料の実質無償化だ。この助成金制度で、注目すべきは中高一貫ではない「高校単独」の私立校だ。

 18年は2人が東大に合格するなど多くの国公立、難関私立大合格者を輩出する朋優学院高校(東京都品川区)。01年に女子校から共学化し校名を変更、14年には調理・美術などのコースの募集を停止し、本格的な進学校に舵を切った。

 しかし、当初はなかなか目標を達成できなかった。室川等教頭が振り返る。

「進路指導のノウハウがないので予備校の講師を呼んで校内予備校を作ったり、サテライト授業を導入したりしました。しかし生徒の実態を知らない外部講師の指導はミスマッチも多く、評判はよくなかったですね」

 自校の教員が生徒の指導にあたる方針にし、校内で教員が集まって授業研究を重ねたり入試問題の分析会を開いたりした。さらに外部の研修やガイダンスなどにも足を運んだ。

「5教科の授業は年間約700時間。その時間をいかに内容の濃いものにするか、教員全員が意識して壇上に上がっています」

 もうひとつの課題が、生徒の意識を変えることだった。私立単独校は公立高校と併願されることが多く、第1志望の受験を失敗して入学してくる生徒も少なくない。現実を受け止めつつ、大学入試に向けて気持ちを前向きにさせなければならない。まず、さまざまな外部模試を利用し、点数を伸ばすことで自信につなげた。サポート体制も充実。年に5回のペースで個人面談を実施し、放課後は難関大入試に向けた講座を、長期休暇には講習を開講している。塾に通っている生徒は全体の10%にとどまる。

 今年現役で東大に合格した大宮好誠さんも、塾や通信講座を使わなかったという。

「第1志望に行けなかったこともあって、入学当初は学校にあまり期待していませんでした。でも先生や友だちと親しくなり、授業も面白かった。学校の講習は受けましたが、それほど無理をしたわけではなく、文化祭や体育祭も楽しみました。朋優に来ていなければ東大へは合格しなかったかもしれない」

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