「ドラえもんのDVDを見ながら笑い転げる長女と次女の横で涙を流しながら読み終えました」

 と手紙をくれたのは東京都中央区に住む女性。2012年に常位胎盤早期剥離を起こし、28週で出産した長男は染色体異常の18トリソミーで17日間生きた。

「(本に書いてある)火葬に関すること、お骨のこと、周囲からの言葉、次の妊娠のこと、(中略)本の中の全てのことが私の中のあるあるすぎて思わずペンをとった次第です」

 死産後、仕事も辞め、何もかも失ったと思った時期もあったが、さまざまな本を読み、カウンセリングを受けるなどして少しずつ前を向けるようになり、「今はその息子を『得ていた』と思えることが幸せ」と考えられるようになったという。

 半年前に長女を死産した女性は「本を読んだら当時を思い出してつらくなると覚悟したけど、逆に楽になれた」という。本に出てくる体験談を読んで、自分ひとりじゃないと思えたこともあるが、何より「悲嘆のプロセス」を知って、自分の心や体がどのような経過をたどるか知れたことが大きいという。(編集部・深澤友紀)

AERA 2018年7月16日号より抜粋