「ゆうちょボランティア貯金」は簡単・手軽に社会貢献できると人気。口座数は100万件を超えた(撮影/写真部・掛祥葉子)
「ゆうちょボランティア貯金」は簡単・手軽に社会貢献できると人気。口座数は100万件を超えた(撮影/写真部・掛祥葉子)

 いま、普通預金の金利の主流は、年利0.001%。メガバンクやゆうちょ銀行をはじめ、地方銀行もたいていこの金利だ。100万円預けても、利息は年間でわずか10円(さらにそこから税金が引かれる)。もはや銀行にお金を預けても目に見えて増えることはなく、タンス預金と変わらない。そんな中、ひそかに人気なのが預けているだけで社会貢献につながる預金だ。

 ゆうちょ銀行では、2008年からスタートした「ゆうちょボランティア貯金」の取り扱い件数が、17年に100万件を突破した。これは通常貯金または通常貯蓄貯金の口座が対象で、窓口で申し込むと、税引き後の利息のうちの20%を自動的に寄付してくれるものだ。

「寄付金は、国際協力機構が運営する『世界の人びとのためのJICA基金』へお渡しし、主に開発途上国の飢餓・貧困対策や環境問題解決に役立ててもらっています」(ゆうちょ銀行)

 もともと低金利の20%なので、1人あたりの寄付金額は微々たるもの。それでも、100万件の口座が集まると半期で10万円以上になる。17年度下半期分は14万2468円が寄付された。ゆうちょ銀行が運営するクレジットカードのポイントからの寄付も合わせると、取り扱い開始以降、総額3300万円に迫る。

 ゆうちょ銀行は民営化前も、「国際ボランティア貯金」の名で似た預金を取り扱ってきたが、民営・分社化に伴って一旦廃止された。ゆうちょ銀行は、再開した理由を次のように話す。

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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