政府によるサポートは、どの銀行でも受けられるのだろうか。法律によると、公的な支援は、「国または地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがある」と認められた場合に発動される。例えば栃木県に本店を置く地銀、足利銀行が03年に一時国有化されたケースがある。発行済み株式をすべて国が強制的に取得した。

 さて、あなたのメインバンクは大丈夫なのか。メガバンク、ゆうちょ銀行に加えて全国の地銀、第二地銀、ネット銀行の計113行の格付けを一覧表にした。格付け会社はS&Pをはじめ、ムーディーズやR&Iなど大手5社のものを横並びに表記してある。

 S&Pでは、格付けした22行がA(21行)かBBB(1行)に収まった。

 もっとも格付けが多い日本格付研究所(JCR)では、AA13行、A51行、BBB19行となった。JCRのBBBは「債務履行の確実性は認められるが、上位等級に比べて、将来債務履行の確実性が低下する可能性がある」という意味なので、ほかの会社の格付けも含めてざっと見る限り、どの銀行も現状では問題なさそうだが?

「格付けは銀行からの依頼で検討するもので、評価を付けていない銀行についてはコメントできません。当社で格付けしている銀行については、『投機的』とされるものはなく、すぐに下がりそうだと注視しているところ(クレジット・ウォッチと呼ばれる)もありません。ただし、他国と比べ、日本の銀行は収益性が低めです。銀行間の競争が激しくなるなかで、貸し出しによる金利収入も落ちてきている。それをどう補っていくのかにも着目しています」(吉澤さん)

 この一覧表では省略したが、それぞれに「ポジティブ」「ネガティブ」という表記がつくこともある。これは、今後2~3年以内に格付けが変わる可能性が一定程度あるという記号だ。併せてチェックするといいだろう。

 格付け会社はそれぞれ、自社ホームページで最新のデータを公表しているので、年に1~2回、のぞいてみるといい。(編集部・川口穣)

AERA 2018年7月9日号

著者プロフィールを見る
川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

川口穣の記事一覧はこちら