投資をするには元手が必要。それは多くの場合、銀行預金だろう。その銀行は安心なのか、判断の材料にしたいのが信用格付けだ。格付けとは何か。そしてどう使えばいいのか。
【図表】全国の主要113行 大手格付け会社の「最新」格付け一覧
* * *
昨年来、銀行、それもメガバンクの人員削減がたびたびニュースになった。みずほフィナンシャルグループは10年間の合計とはいえ、グループ従業員を1万9千人減らす。地域銀行では、基盤強化に向けた経営統合などが各地で進む。
どちらも金融機関にとって稼ぎにくい低金利が続くなど、厳しい状況が背景にあるとされる。もしや、銀行は危ういのでは? そんな不安を覚えた人もいたはずだ。
投資信託を買うにしても、元手は銀行預金だろう。すぐに買いたい投信がなければ、銀行に預けたままにしておくかもしれない。もしも銀行が破綻したら……。日本では、1銀行あたり普通預金や定期預金などの元本1千万円とその利息はペイオフ(預金保護)により払い戻されるが、外貨預金などは返ってこないかもしれない。自身のメインバンクにお金を預け続けていても安全なのか。判断材料のひとつとなるのが「格付け」だ。
格付けとは、「その企業・団体が借りたお金を返せるのか返せないのか」を、段階をつけて評価したもの。格付け会社ごとに表し方や定義は微妙に異なるが、AAA(Aaa)が最も高い。これは「トリプルエー」と読む。大手格付け会社S&Pグローバル・レーティング・ジャパンで銀行などの格付けを担当する吉澤亮二シニアディレクターは言う。
「メインバンクに預けているお金の安全度を測ったり、上場企業の社債に投資する場合などは参考にするといいでしょう」
S&Pを例にとると、「長期発行体格付け」は2~3年先までを基準に、その企業(銀行)が債務を返せるかどうかの全体的な能力を表したもので、基本的にはこれを見るといい。S&Pの場合、上から順にAAAは「債務を履行する能力は極めて高い」、AA(ダブルエー)は「債務を履行する能力は非常に高く、最上位の格付け(AAA)との差は小さい」、A(シングルエー)は「債務を履行する能力は高いが、より上位の格付けと比べて事業環境や経済状況の悪化の影響をやや受けやすい」と定義されている。