投資信託、株式、FX、仮想通貨……。投資には様々な選択肢があるが、急激な下落や元本割れのリスクを意識することも重要だ(撮影/伊ケ崎忍)
投資信託、株式、FX、仮想通貨……。投資には様々な選択肢があるが、急激な下落や元本割れのリスクを意識することも重要だ(撮影/伊ケ崎忍)
つみたてNISA残高ランキング【1】(AERA 2018年7月9日号より)
つみたてNISA残高ランキング【1】(AERA 2018年7月9日号より)
つみたてNISA残高ランキング【2】(AERA 2018年7月9日号より)
つみたてNISA残高ランキング【2】(AERA 2018年7月9日号より)

 将来の年金にあまり期待が持てなくなっている今、老後に不安を抱く人は少なくないはず。国があてにならないなら自分で備えるしかない。老後のために、投資に挑戦する人が増え始めている。

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老後不安を背景に、投資に二の足を踏んでいた層も「第一歩」を踏み出している。毎週木曜日、19時に東京・兜町のカフェに仕事終わりの女性たちが集まってくる。「金融ワカラナイ女子のためのコミュニティ」と称した勉強会「きんゆう女子。」のメンバーだ。毎回、10人弱で身近な家計管理から世界経済まで、幅広いテーマについて勉強する。会員数は1459人(18年6月時点)。24 歳から35歳で年収400万円前後の独身女性が多い。

iDeCoやつみたてNISAなどの勉強会に加え、人工知能(AI)が投資銘柄を決める「ロボアドバイザー」の活用法など突っ込んだテーマもある。とはいえ、全員がすぐに投資を始めるわけではない。「きんゆう女子。」代表の鈴木万梨子さんによると、勉強会の参加者で実際に証券口座を開くのは「2割弱」だという。

「書類の手続きが煩雑だったり、金融商品の選択肢が多すぎたりすると、結局、実際に運用するまでには至らない。海外勤務やパラレルワークなど、将来も多様な働き方を望む女性たちにとっては、手続きが多くて60歳まで引き出せないiDeCoは敬遠されやすい」

 その一方、忙しい女性たちは、スマホだけで投資できる新しいサービスに敏感。千円から投資できるスマホ専門の証券会社「ワンタップバイ」などで投資デビューする人も多い。

「女性は投資でもライフスタイルに合うかを重視する。投資の裾野を広げるには、国や金融機関がいかに使う側に寄り添ったシステムを作れるかも重要になる」(鈴木さん)

 楽天証券によると、つみたてNISA加入者の約40%が女性で、そのうちの24%が「つみたてNISAで初めて取引した」というビギナーだという。

「1億円ためたいんです」

 こんな“野望”を語るのは、不動産関連企業に勤務するサキさん(29)。今年2月から投資信託を始めたビギナーだ。叔父が株価のチャートを見ている姿に、子どもながらに関心があった。裕福だった叔父はよく洋服を買ってくれたり、ごちそうしてくれたりした。「お金がある生活は違う」と感じたことを覚えているという。大学で経済学を学んだが、卒業後は、しばらく地元の本県で投資とは縁遠い生活を送った。結婚を機に上京。長女が生まれ、今の会社に就職すると「投資熱」に火がついた。会社のセミナーでファイナンシャルプランナーが言った「30歳で500万円の貯蓄があれば、毎年100万円ずつ積み立てて、年4%で運用すれば60代で1億円たまる」という言葉に衝撃を受けたという。

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