「社内の人間がいくら言っても伝わらないことを、臼井さんに第三者視点で『それって本当に必要なんですか』とビシッと言ってもらえると『ああ、今の時代はそうなのか』と腹落ちしてくれるんです」

 フリーランスの活用は、大手企業の商品開発にも変化をもたらした。コニカミノルタ(東京都千代田区)のビジネスイノベーションセンターでは、外部の専門人材を活用することで、社員わずか2人で体臭チェッカー「Kunkun body(クンクンボディ)」の開発を実現した。

「こんな商品をつくりたいのですが、御社の調香師さんにお話を伺えませんか」

 開発を担当した甲田大介さんは、必要なノウハウを持っていそうな企業の公式サイトの問い合わせ窓口にメールをしていた。しかし、返信はほぼゼロ。数日後にようやく連絡があったとしても、出てきてくれるのは営業ばかり。希望する専門家から話を聞くことはできなかった。

 そこで活用したのが、「ビザスク」のスポットコンサルだ。調香師を始め、商品デザイナーなど、それまでいくら時間をかけてもたどり着けなかった専門家に、わずか数日でアプローチができた。「デザインがかっこ悪い」「いくらで売ればいいか」など開発のコアに関わる部分まで、20人近くに話を聞いた。

 一方、大手企業では、商品開発に関する機密性の高い情報は外に出しにくいもの。甲田さんも当初「ここまで出していいのかな」という迷いもあったが、

「とにかく知見を得ないと始まらないので、そうも言っていられない(笑)。伝えるべき情報は伝え、何が知りたいのかを事前に明確にしておくことに気を配りました」

 しかし、グループで社員4万人を超える超大手企業。社員からも探せば知見を得られたのでは?

「社内は母体が大きすぎて、いろんな手順があったり、伝言ゲームで内容が変わってしまったりとかえって面倒。外に力を借りたほうがずっと早いんです」

(編集部・市岡ひかり

AERA 2018年7月2日号より抜粋