取材当日、新宿のカフェで谷出さんが会っていたのは、高橋慶治さん(24)。大阪大学在学中に起業し、学生の長期インターンシップに特化した求人サイト「InfrA」を運営する。谷出さんがメンターとして、ギブを続けてきた相手だ。

「毎回、谷出さんと話すとこちらの発想もぐっと広がるんです。今日の1時間だって、新規事業につながると考えれば100万円以上の価値がある」(高橋さん)

 ギブをし続けていれば、いつかめぐりめぐって大きなテイクがかえってくる。

 谷出さんは言う。

「会社員であれば、とりあえず言われたことをやっていれば給料はもらえるからラクです。フリーランスは、自分は何のために仕事をするのか、自分はどういう価値を生み出せる人間なのかといった本質的な問題を自分で突き詰めないといけない。厳しいです。でも逆に自分次第で可能性は無限に広がります」

 会社を辞めることを最近は「卒業」と言うことが多い。卒業したフリーランスが、人脈とビジネスを広げ、卒業した企業とまたプロジェクトベースで組んでいく。そんなことが当たり前になる時代が来ると谷出さんは予想している。(編集部・石臥薫子)

AERA 7月2日号