新宗教団体2世信者たちの葛藤 オフ会が居場所、難民化の懸念も (3/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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新宗教団体2世信者たちの葛藤 オフ会が居場所、難民化の懸念も

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鈴木エイトAERA
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の教義である「統一原理」を解説している『原理講論』(撮影/写真部・掛祥葉子)

旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の教義である「統一原理」を解説している『原理講論』(撮影/写真部・掛祥葉子)

エホバの証人から脱会した女性は「母の信仰を否定することは、教団の排他的部分と変わらなくなってしまう」と語る(撮影/編集部・小柳暁子)

エホバの証人から脱会した女性は「母の信仰を否定することは、教団の排他的部分と変わらなくなってしまう」と語る(撮影/編集部・小柳暁子)

 元歌手の桜田淳子氏(60)が参加したことで騒動となった92年の合同結婚式には約3万組が参加、3年後の95年には36万組の信者が合同結婚式を挙げた。この頃の夫婦のもとに生まれた子どもが成人を迎えつつあり、結婚や恋愛などが絡んだ2世問題の噴出が懸念されている。2世にとって、信仰を否定することは自身の出生への否定につながりかねないからだ。

 カルトの諸問題を研究する「日本脱カルト協会」は、「幸福の科学」2世の俳優・清水富美加(千眼美子)氏の出家騒動の最中の昨年3月、「『2世問題』にはデリケートな対応が必要」との見解を示した。

 カルト脱会者の支援施設(福島県)で中心となっている日本基督教団白河教会の竹迫之(いたる)牧師のもとには、2世からの相談が数多く寄せられている。自身も旧統一教会の脱会者だ。

●積み立てた大学の学費まで母が献金してしまう

 宮城県内の女子大で講師を務める竹迫氏は数年前、旧統一教会の2世である女子学生から「母が積み立てた学費まで献金してしまう。このままでは、お金がなくなり大学を辞めなくてはならなくなる」と相談を受けた。福祉に詳しい元教え子と引き合わせ、社会福祉協議会や奨学金など使える制度を探してお金をかき集めた結果、女子学生は大学を辞めないで済んだ。

 既存のセーフティーネットで、カルトや新宗教の2世問題をカバーすることは可能なのか。竹迫氏は、虐待の一類型として捉えることができれば、何らかの支援ができる可能性はあるという。しかし、表に出にくく、殴る蹴るといった目立った虐待があるわけではないことに加え、信仰の問題が絡むと外部からの介入は難しいのが現状だ。

「スピリチュアルアビュース(霊的虐待)のような新たな視点を児童福祉の分野でも持ってもらうことが必要です」(竹迫氏)

 公益財団法人国際宗教研究所宗教情報リサーチセンター研究員で、昨年『カルト宗教事件の深層「スピリチュアル・アビュース」の論理』(春秋社)を出版した藤田庄市氏は、「アビュースという言葉は日本語の『虐待』より意味が広く、絶対的な地位にある者が自分より弱い者に対して権威を濫用すること」と解説する。

 藤田氏によると、スピリチュアリティーは宗教に反応する心性や超自然的存在に影響を受けている感覚のことで、2世にとって核となるものだ。

「2世が悲劇的なのは、生まれた時から人間の精神作用をアビュースされているから普通になれない、立ち戻る規範がなくなってしまうことにある」


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