アラフォー母、アラフィフ父になってよかった?(AERA 2018年6月25日号より)
アラフォー母、アラフィフ父になってよかった?(AERA 2018年6月25日号より)

 40歳前後で出産する女性や、50歳前後で父になる男性が増えている。年齢を重ねてから父親、母親になることにはどんなメリット、デメリットがあるのか。

「今の時代だから仕事も育児も両方あきらめずにいられる。高齢出産でよかった」

  と肯定的に受け止めているのは、43歳で長男を出産した金融系会社勤務の女性(47)だ。職場では20~30代に出産した人のほとんどが会社を辞め、辞めなかった少数派は「昭和のおじさん」的働き方を強いられた。

 産みたいとは思えないまま、41歳になっていた。そんなとき、子宮筋腫が突然大きくなり、医師から子宮を全摘するか問われた。初めて出産を強く意識した。まもなく自然妊娠した。

 現在はフルタイムで働き、週に2日は在宅勤務制度やテレワークを利用する。若い頃だったら制度があっても使いづらかったが、今は後輩のためにも率先して取らないと、と使命感さえ感じている。

 食材は通勤電車の中でネット注文し翌日宅配される。食器洗い機や洗濯乾燥機、お掃除ロボットなどの時短家電をそろえ、家事をできる限り手抜きして子どもとの時間をつくる。仕事も子育てもあきらめない。もし30歳前後で出産していたら、この環境は享受できなかっただろう。

 親になる年齢が上がっているのは男性も同様だ。2歳の娘がいる会社員の男性(52)は言う。

「若くして父親になっていたら、今のようには子育てに力を注げなかったかもしれない。娘を授かったのは僕にとってのベストタイミングでした」

 20代、30代の頃は毎晩のように終電まで働いていた。管理職に就いた今は、仕事を自分でコントロールでき、定時に帰り、子どもと風呂に入り、家族3人川の字で寝る。

 気がかりはお金の問題。娘が成人するとき古希だ。娘の誕生直後に学資保険に入ったものの不安が募り、資格を取って起業も考え始めた。娘には自分の知る豊かな世界を教えたいと思っていたが、逆に娘に新たな世界を見せてもらっている気がする。

 46歳で娘が生まれた埼玉県の会社員(51)はアンケートに「高齢で親にならないほうが絶対良い」と書いた。

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