今回の大阪大地震の原因についての専門家の解説も出始めている。


 地震学の総本山とも呼ばれる東京大学地震研究所の古村孝志教授はTBSの取材に対し、「有馬―高槻断層帯で起きた活断層の地震ではないかと思う」と発言している。

 高槻市が地震調査研究推進本部の資料から作成した防災資料「ゆれやすさマップ」では、有馬―高槻断層帯による30年以内の地震発生確率は「ほぼ0%~0.02%」だ。

「政府のハザードマップが安心情報になってしまっている」

 そう、強い危機感を見せるのは、武蔵野学院大学の島村英紀(地震学)特任教授だ。

東大大学名誉教授で地震学者のロバート・ゲラー氏がハザードマップのことを〝外れマップ〟と揶揄しましたが、近年の大地震をハザードマップ上に置くと、発生確率の低い黄色のエリアに集まります。政府は活断層調査を行っていますが、まだ確認されていない活断層が4000ほどあり、すべてを把握できているわけではありません」

 島村さんは続ける。

「2011年の東日本大震災以降、地震も火山も活発になっている。日本列島の基盤をなす基盤岩は本来、プレートの動きに従って年間8~10センチ動いていた。それが東日本大震災で仙台の近くの牡鹿半島で5・4メートル、首都圏でも一年間でほぼ30~40センチ動いた。その結果、日本列島のあちこちに歪みがたまり、内陸直下型地震が起こっている」

 なかでも、2013年には兵庫県の淡路島、2015年には徳島県と、関西地方で浅い直下型地震が起こっている。南海トラフ地震の先駆けになっている可能性もあると島村さんは指摘する。

「地震がきてからでは遅い。被害を最小化するために、自分が住んでいるエリアは大丈夫ではなく、地震について家族や職場でまずは話し合うことが大事です」

 想定外エリアで立て続けに起こる大地震。世界で発生する約20%の地震が日本という地震大国に住む以上、安全な場所はないと心得て、日ごろの防災意識を高めたい。準備することに遅過ぎるということはない。
(AERA編集部・澤田晃宏)

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