ビジネスウェアのカジュアル化が進んだとはいえ、やはり休日のカジュアルウェアとは異なる。マナー違反にならないように、着こなしにはルールが存在する。ただ、それを「守らなければならない」と考えるのではなく、「ルールさえ守れば誰でもスタイリッシュになれる」と考えると、ビジネスウェアのオシャレは民主的に思えてくる。

 まず、シャツは白を選ぶに限る。部長クラスの男性がクールビズになったとたんにカラーシャツを着て休日オジサンになってしまっているのは、じつに痛い。白こそは、「涼しく」見えて「カッコいい」色の代表格。

 シャリ感のある涼しげ素材のネクタイ、胸元に挿すポケットチーフ、リュックやショルダーバッグにもなる3WAYバッグなどは、クールビズが生んだヒットアイテムといっていい。

 女性のビジネスパーソンも部下を持つ管理職ともなれば、きちんとジャケットを着るシチュエーションが増えてくる。クールビズの季節に営業回りをする女性管理職には、パンツスーツをおすすめしたい。ボトムスがスカートになっているスーツと比較すると、フットワークの軽快さを感じさせるからだ。

 ただ、パンツをはくとマニッシュなイメージになりすぎることもあるので、色づかいには十分に注意を払いたい。ネイビーは男性ビジネスマンにはいちばん人気の色だが、女性がパンツスーツでネイビーを選ぶと、重い印象になってしまう。今年のイチ押しは、軽やかさと優しさが共存するベージュ。

 ベージュが、「爽やかな白」と「大人っぽい茶」の中間色であることに着目してほしい。洋服に合わせる小物の色も、白から茶色のグラデーションでまとめる。例えば、茶色のレザーとベージュのキャンバスのミックス素材のバッグ。そして、足元には白いパンプスという具合だ。

 本誌の別冊として08年にスタートした「アエラスタイルマガジン」は季刊誌として年に4冊発行。今年で10周年となる。創刊以来一貫して、スーツの着こなしを指南。ビジネスパーソンのリアルな視点に立った提案は、他のファッション誌にはないものであると自負している。

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