「非常に根深いものです。教育を考えるとわかりやすい。戦前戦中は、国体を過剰に権威化して国民を従わせていました。戦後は、その反省から平和教育が行われたと語られていますが、教師に黙って従わせるという権威主義教育の本質は変わっていなかったといえます」(同)

  例えば、中学や高校の校則がそうだ。髪形や服装に関する校則について、目的は合理的に説明されないが、決まりへの服従は求められる。

「内申書に何を書かれるか不安なので、黙って従う。権威に刃向かうのは損だという構図に慣れてきたのです」(同)

 権威に従うことには魅力的な面もある。自由や独立には、不安や孤独もつきまとう。山崎さんが注目するのは、手放した自由と引き換えに得られる、帰属する社会や共同体との「絆」だ。2011年の東日本大震災以降、人々から積極的に「絆」が語られるようになった。

「不安は権威主義が入り込む隙です。将来が不透明で、少子高齢化が進み、不安の種は尽きない。それが最近特に権威主義が進んだ理由だと思います」(同)

(編集部・澤志保)

AERA 2018年6月11日号より抜粋