40代、50代の女性ならではの症状と言えば「更年期」だろう。だが、話題にさえしにくいのが現状かもしれない。

「しかし話題をタブー視することが、理解が深まらない要因でもあるのです。その現状を変えないといけない」

 大塚製薬で更年期の女性向けサプリを担当する、女性の健康推進プロジェクトリーダーの西山和枝さん(50)はそう語る。西山さんも現在の部署に異動して間もない47歳のとき、更年期の症状を経験した。

「頭から汗が流れたんです。それまで経験したことのないものでした」

 入社以来、医師や薬剤師を相手に医療用医薬品の情報提供を行ってきた。が、消費者向け商品は販売のアプローチが違う。

「慣れない仕事のなかリーダーとしての決断を次々迫られ、そんなときに症状が現れました」

 更年期は閉経をはさむ前後5年の10年間を指し、一般的に40代後半から50代前半にかけて迎える。女性ホルモンの急激な減少により、多様な不調が女性の心身に引き起こされる。ほてりやうつ症状など、その症状は何百種類もあるとされる。環境の変化などさまざまな要因が加わることで出やすい。

 西山さんがセミナーなどで自身の体験を話すと、終了後には悩みを共有できた喜びや「自分だけではない」と安堵を伝える女性たちの列ができる。

「更年期の話題がタブー視されることで女性自身の知識不足を招き、対処の方法を知らないことで必要以上に症状に悩まされ、周囲の理解も得られない現状があるからです」

 大塚製薬では、更年期を「ゆらぎ期」と言い換えている。「閉経」の言葉の持つネガティブなイメージも変えて、職場や家庭で気軽に話せる環境をつくりたいと、西山さんは言う。

 人生100年時代に入り、40代、50代は折り返し地点にすぎなくなった。旧来の年齢イメージに縛られずしなやかに活躍する女性は今後ますます増えるだろう。(編集部・石田かおる)

AERA 2018年6月1日号より抜粋