「自分一人ではできないところ。より速く、よりリアルに格闘シーンを演じるためには、相手役との間合いや呼吸がすごく大事になります。そういうときの現場に張りつめるピリッとした空気感が、僕は結構好きなんです」

 肉体派の役だけではない。映画「彼らが本気で編むときは、」では、トランスジェンダーの心情を繊細な演技で表現。そして昨年は、舞台「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」で、菅田将暉とともに2時間半ほぼしゃべりっぱなしの怒濤の会話劇にも挑戦した。

 役者の魅力は「何にでもなれること」。そう答えられるのは、どんな役でも真正面から受け止められる強さと大らかさがあるからこそだろう。

「いろいろな人生が楽しめて、すごくお得な職業だなって、いつも思います」

(ライター・澤田憲)

AERA 2018年6月4日号