文書が捏造(ねつぞう)ではないかとの主張が一部で広がっていることについても、こう呼びかけた。

「いちゃもんのレベル。よほどこれが事実だと困る人がいるのかな。何事も正直、真実というのを覆すことはできない。正々堂々とやりましょう」

 もし愛媛県の文書が虚偽だとすれば、面談した加計学園関係者がありもしない話をでっち上げて県に報告したか、もしくは県の担当者が虚構を創作して文書に残したか、二つに一つだ。だがどちらも当事者にとって利益があるとは思えない上、のちに発覚すれば重大なペナルティーが科せられる反則行為だ。

 一方、安倍首相本人や親友の加計氏は、この文書を真実と認めるわけにはいかない。加計学園が国家戦略特区で獣医学部の新設を進めていたことは、事業者として選ばれるまで安倍首相は全く知らなかった。そんな筋書きが根本から崩れてしまうからだ。

「加計ありきの事業だ」

「岩盤規制に開けた針の穴を通れるのは総理のお友達だけ」

 そんな野党の批判を今さら認めたくない、という首相の思いとは裏腹に、「一点の曇りもない」はずの手続きは、今や一筋の光も見いだせない暗闇に埋没しているようにみえる。(編集部・大平誠)

AERA 2018年6月4日号より抜粋