愛媛県が参院予算委員会に提出した文書。2015年に安倍首相が加計学園理事長と面会した際、「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と発言したと記されている (c)朝日新聞社
愛媛県が参院予算委員会に提出した文書。2015年に安倍首相が加計学園理事長と面会した際、「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と発言したと記されている (c)朝日新聞社
中村時広・愛媛県知事の定例記者会見。「嘘というものは発言した人にとどまることなく、第三者、他人を巻き込んでいく」と話した (c)朝日新聞社
中村時広・愛媛県知事の定例記者会見。「嘘というものは発言した人にとどまることなく、第三者、他人を巻き込んでいく」と話した (c)朝日新聞社

「日大アメフト部と安倍政権は重なって見える」。立憲民主党・辻元清美議員の言葉を借りるまでもなく、そう感じている人は多いだろう。

 選手に不本意なプレーを強いた日本大学アメリカンフットボール部の内田正人前監督らは、責任逃れの言い訳に終始し、事態の混迷に拍車をかけた。

 次々に決定的な証拠や証言を突きつけられながら、「記憶がない」と根拠のない主張を繰り返す。権力の庇護(ひご)を受け、不都合な真実から目を背ける。その姿は、国民を不信の底なし沼に引きずり込んだ日本の首相そのものだ。

 5月21日、安倍晋三首相が新たに直面したのは、愛媛県が参院に提出した27枚の文書だった。国家戦略特区という「特例措置」のもとで愛媛県今治市に今春開学した「岡山理科大学獣医学部」を巡り、愛媛県が関与した出張や面会のやり取りが記録されている。

 同学部を設置したのは、安倍首相の40年来の親友である加計孝太郎氏が理事長を務める学校法人「加計学園」だ。

 安倍首相はこれまで、特区制度を利用した獣医学部新設計画を知った時期を、加計学園が事業者として認められた昨年1月20日と説明してきた。僕が知ったのはすべて決まってから。お友達を特別扱いしていない証拠だよ──というわけだ。

 ところが愛媛県の「新文書」では、それより2年近く前の2015年2月25日、加計理事長が親友の安倍首相と面談して計画を伝え、「いいね」という返事をもらったとの記述があった。首相は計画を知り、賛同までしていたというのだ。

 詳しく見てみよう。問題の文書は「獣医師養成系大学の設置に係る加計学園関係者との打合せ会等について」。愛媛県地域政策課が作成した。加計学園から、理事長と安倍首相との面談結果等について報告したいと申し出があり、同3月3日に県と学園関係者が会合した内容を記録したものだ。

 加計学園からの報告は次のようなものだった。

(1)2月25日に理事長が首相と面談(15分程度)。理事長から、獣医師養成系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」とのコメントあり。また、柳瀬唯夫首相秘書官(当時。現経済産業審議官)から、改めて資料を提出するよう指示があったので、早急に資料を調整し、提出する予定。

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