「(首脳会談中止の判断は)予想外であり、非常に遺憾だ」としたうえで、「いつでもどんな方法でも向き合って問題を解決する用意がある」。また、「常に米国側に時間と機会を与える用意がある」とも記した。

 トランプ政権に一方的に核合意を離脱されたイランが、英仏独ロなどとは合意を維持する姿勢を見せたように、北朝鮮も非核化に向けた姿勢を強調することで、むしろ国際的なプレッシャーを米国に向けることにもなりうる。米朝首脳会談の中止を受けて、ロシアのプーチン大統領が「金正恩氏は事前の約束をすべて実行し、核実験場まで爆破したのに、その後、米国が取りやめたと聞いた」と発言したが、非核化へ向けての姿勢を国際社会に強調し続ける方が有効だと判断できるかどうかが焦点だ。

 やると言ったりやらないと言ったり、まるでジェットコースターのような首脳会談に向けた米朝間の交渉だが、まだ終点には到着していない。むしろ、トランプ政権は、融和ムードが一気に加速した北朝鮮と韓国主導の流れをいったん白紙に戻し、米国主導の流れで首脳会談への交渉をやり直そうとしているように見える。史上初の米朝首脳会談をトランプ大統領がやりたがっているのは間違いない。今後もアップ、ダウンを繰り返しながら、首脳会談に向けた水面下の交渉は続いていくだろう。(AERA編集部・山本大輔)

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