このようにバックグラウンドも価値観も異なるメンバーが集うプロジェクトチームでこそ、リーダーの役割が重要。サーキュレーションCEOの久保田雅俊さんは、ここでも「イノベーション型」「ビジョナリー型」リーダーが活躍するという。

「多様なメンバーをとりまとめるリーダーは『調整役』と思われがちです。けれど目標とするのが変革であれば、クライアント企業内の意見や決裁権者の偏った判断に迎合すべきではない。『もっと違う未来があるはず』と提言できることこそ、外部人材の価値といえます。クライアントの期待値を超え、感動を与えるような仕事をしてこそ、価値がさらに上がります」

 組織人として働くにしても、フリーランスのプロフェッショナルとして働くにしても、これからの時代に重宝されるリーダーになるためには、どんな力を磨いておけばいいのだろうか。森本さんは「変化対応力」と断言する。今の時代、大手1社・一つの部門で長く経験を積んできたという人は、たとえ管理職経験があってもリーダー候補としては評価されない傾向があるという。

「期待されるのは、部門異動や子会社出向、海外駐在、あるいは転職など、劇的な環境変化を経験してきた人。新しい環境に飛び込み、大きな変化への適応を経験した人ほど、時代の変化に応じた戦略転換にも対応できる柔軟性を身につけているからです」(森本さん)

 森本さんが転職を支援したある40代は、証券会社で営業として働いた後、マーケティング会社に転職。マーケティングの理論・手法を身につけたが、人材の重要性に気づき、採用プロジェクトにも参加。その後、会社から「ファイナンスも見てほしい」と言われ、管理部門全体のマネジメントを務めた。再度転職した際には、「事業も経営管理もでき、組織を多面的に見られる人物」という高評価を得て、主要部門の事業部責任者として迎えられたという。

 ある30代はアパレル会社の営業を経てネット系のメガベンチャーに転職。海外現地法人の立ち上げを任され、商習慣も文化も異なる土地での「修羅場」を経験し、帰国後はM&Aしたグループ会社の社長に就任した。必要とされるのは「温室育ち」より「修羅場経験者」なのだ。

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