昨年の東京都議選で聴衆に囲まれる小泉進次郎氏。遊説での「集客力」は自民党でも群を抜いている (c)朝日新聞社
昨年の東京都議選で聴衆に囲まれる小泉進次郎氏。遊説での「集客力」は自民党でも群を抜いている (c)朝日新聞社

 自民党の中でも高い人気を誇る小泉進次郎・自民党筆頭副幹事長。若くして存在感を強める彼に、「次世代首相」を待望する声があがる一方、時期尚早との声も。いずれにしても、その動向が注目されている。

 3月から4月にかけ、新聞やテレビなどの世論調査では「次期首相にふさわしい政治家」の上位に小泉進次郎・自民党筆頭副幹事長の名が挙がった。小泉は今、「自民党をぶっ壊す」と強烈なリーダーシップで突き進んだ父・小泉純一郎元首相とは異なるリーダー像を描いているようにみえる。

 3月25日に都内で開かれた自民党大会。散会後、会場外にはひときわ大きな取材陣の輪ができた。中心には小泉の姿がある。

「平成の政治史に残る大きな事件と向き合っている」

 森友学園との土地取引をめぐる決裁文書を財務省が改竄した問題について問われ、小泉が放った言葉を報道各社は一斉に伝えた。

 この日、秋の自民党総裁選をにらむ石破茂元幹事長、岸田文雄政調会長、野田聖子総務相の「ポスト安倍」候補3人も改竄問題に厳しい声を上げた。しかし、当選4回の小泉の発信力は3人を上回る勢いだ。

 抜群の人気を誇った父・純一郎の後継者として、当選1期目から「いずれ総理になる政治家」と言われ続けてきた。爽やかなルックスに、国民の思いを代弁するような歯切れの良い言葉。ある党関係者は小泉の存在感が高まった理由をこう分析する。

「昨年衆院選の全国遊説で『森友・加計問題は総理自身が説明すべきだ』と首相に厳しい言い方をしたが、それが結果的に人々の心をつかんだ」

 小泉自身、政治家として最も大切にしていることは自身の「言葉」だと語る。

「最後は、政治というのは、政治家の言葉の力だ」

 小泉がいま問われているのは、秋の自民党総裁選でどのように動くかだ。安倍の3選支持か。ほかの候補を支えるか。それとも自身が候補として立つか。総裁選というむき出しの権力闘争は政治家としてさらに階段をのぼる好機である半面、大きく傷を負うリスクもはらむ。

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