押しつけや否定ではなく、価値観をすり合わせていくことが重要だということだ。

 ただ、いくら言葉や生活態度で価値観のすり合わせを試みても、性的な場面で食い違いが出てくることも多い。最近では、女性専用の「レズビアン(女性同性愛者)風俗」も注目されている。その背景には、現代の恋愛の難しさが見え隠れする。

『すべての女性にはレズ風俗が必要なのかもしれない。』(WAVE出版)の著者で、「レズっ娘クラブ」代表の御坊氏によると、

「AVの影響で、男性が一方的に好きなように攻めるプレイが当たり前と刷り込まれた男性が、女性を満足させられないケースが増えてきていると感じます。そうしたことを背景に、レズっ娘クラブにもノンケの女性がよくいらっしゃいますよ」

 セックスは男性のためのものととらえられがちな現状。彼氏との行為に不満を抱いていても、自分からは言い出せないという女性はまだまだ多いのだ。レズビアン風俗は、こうしてすれ違うカップルたちの間を取り持つのにも、一役買っている。

「姉妹店の『ティアラ』には男性のお客さまがプレイを鑑賞するコースもあります。特に利用が多いのはカップルコース。彼女がレズビアンプレイをしているのを彼氏が見るというコースですが、興味本位で来てみて、『女性にはこうすればいいのか』『女性はこれを望んでいるのか』と気づく彼氏も多いんです」

 男性の意識改革にもつながっているというレズビアン風俗。そもそも、男性のものと思われがちな風俗に女性専門店が出てきているということが、大きな時代の変化とも言えるのかもしれない。(ライター・大西桃子)

AERA 2018年5月21日号より抜粋