「子どもを3人以上余裕で生み育てられるような環境整備をあなた方がしてこなかった(か)ら、3人以上持つのが難しくなってるんだろ、と」

 実際、一般財団法人「1more Baby応援団」が17年に子育て世代約3千人に実施したインターネット調査でも、「日本は子どもを産みやすい国に近づいていない」という回答が7割を占めた。理想の子どもの数は51.5%が「2人」、25.4%が「3人」としているが、74.5%のカップルが「2人目の壁が存在する」と回答。女性が「2人目の壁」を感じる要因としては経済的な理由が86.3%にのぼっている。特に、出産をひかえる20~40代は非正規社員率が高く、経済的理由が結婚や出産を遠ざける一因になっていることは周知の事実だ。

「産みたくても産めない」状況を作り出している責任は政治にもあるのに、加藤氏の発言は全く自覚がないのが3つ目の問題。その責任を女性だけに押しつけ、3人以上産まなければ罪悪感さえ抱かせようとしているのが4つ目の問題だ。

 さらに5点目の問題として、この発言は、子どもを持つ選択をしてこなかった人も侮辱している。都内に住む独身の管理職女性(50)は、特に加藤氏の「老人ホーム」発言に憤っている。

「これまで働き続けてきちんと納税してきた。専業主婦と比べて税制の優遇もない中で、むしろ他人の子どもたちの分も納めてきたつもりなのに」

 子どもを持つことが国への貢献の条件ともとれる発言は不快だ。この発言は、女性たちの無用な対立をも生み出している。(編集部・深澤友紀)

AERA 2018年5月21日号