朝ドラはこれからどうなる?(※写真はイメージ)
朝ドラはこれからどうなる?(※写真はイメージ)

 男性が時々、主人公になったりすればいいのに。朝ドラはこれからどうなると思いますか?

 年下女子から、そう聞かれた。4月に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)を上梓したからだ。

「女であることの悲しみ」が時に痛烈に描かれる。だから朝ドラが好きなのだけど、確かに「男であることの悲しみ」もあるだろう。男子の主役、ありかもね。

 と答えようと思っていた。が、やっぱり、ない。全然、ない。だって、福田淳一さんが財務省事務次官だったのだ。

 組織を牛耳るのは結局ああいう人だと、ああいう形で見せられた。男子同士は好きになさればよい。「福田の人権はなしですか?」と。だけど、組織への違和感を抱えながら、それでも働いているのは、財務省とマスコミ女子に限った話ではない。

 そこで朝ドラだ。NHK的な正式名称は「連続テレビ小説」。働く女子に必要だ。「ゲゲゲの女房」(2010年)以来、ほぼ全部、一回も欠かさず見ている。なぜかというと「効く」からだ。

 朝ドラは1961年の誕生以来、女子をターゲットにしている。毎朝見てもらうには、非マッチョな世界を作らざるを得ない。だってそうでしょう。福田淳一的な匂いが漂うドラマに、誰がチャンネルを合わせます?

 ヒロインのデフォルトは?と問われたら、「おてんば」と答える。型にはめられるのをよしとしない女子。その伝統は、朝ドラをブレークさせた「おはなはん」(66年)に遡る。初回、おはなは振り袖姿で木に登り、見合い相手を待つ。結婚相手は自分で選ぶ。意思を表す木登り。

 いまや朝ドラは、視聴率20%超えが当たり前のドラマ界のエリートだ。成功した働く女子をモデルにした作品(「暮しの手帖社」社長→「とと姉ちゃん」=16年、「ファミリア」創業者→「べっぴんさん」=同=ほか)を増やすなど、市場の変化に機敏に対応してこそだろう。

 だが、それだけではない。働く女子のツボを、ちゃんとわかっているのだ。「こうだったらいいな」が詰まってる。以下、いいなポイントをまとめる。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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