「一見相反するキーワードですよね。男性は“無理やり”と聞くとレイプものを想像しがちですが、女性が求めているのは、相手への好意が大前提。自分の気持ちを後押ししてくれる相手の強引さなんです。どこまで強引さが受け入れられるのか、塩梅が難しいです」(牧野社長)

 牧野社長は、こうした女性の「保守的な性的嗜好」の背景に、男女のAVの歴史の差もあるとみる。月に1千本以上の新作が登場し、ジャンルも細分化されている男性向けと異なり、女性向けAVは新作が月に4、5本。女性は自分の嗜好を理解しないまま、なんとなく相手の好みに合わせてしまうのかも。

 実際の撮影現場でも、女性が受け身になりがちな瞬間をよく目にするという。男優があれこれ攻める間、女優はギュッと目をつぶったまま。そんな時、

「もっと相手の目を見て、リアクションをして」

 と、アドバイスすると、ぐっとお互いの雰囲気が盛り上がり、作品も良いものになる。

「セックスに関する相談も受けたりしますが、結局コミュニケーションの問題であることも多いんですよね」(牧野社長)

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