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日本の20代にもっとクラシックを 世界的音楽プロデューサーの挑戦

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古谷ゆう子AERA
Rene Martin/1950年生まれ。95年に「ラ・フォル・ジュルネ」をスタートさせる。現在は、ポルトガルやブラジルなどでも同音楽祭を開催(撮影/写真部・小原雄輝)

Rene Martin/1950年生まれ。95年に「ラ・フォル・ジュルネ」をスタートさせる。現在は、ポルトガルやブラジルなどでも同音楽祭を開催(撮影/写真部・小原雄輝)

2005年に「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」として東京・丸の内でスタート(写真は昨年) (c)teamMiura

2005年に「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」として東京・丸の内でスタート(写真は昨年) (c)teamMiura

今年、「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」に改名。今年は、5月3~5日の3日間。新たに池袋エリアでも開催(写真は昨年) (c)teamMiura

今年、「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」に改名。今年は、5月3~5日の3日間。新たに池袋エリアでも開催(写真は昨年) (c)teamMiura

 フランス西部ナントで生まれた音楽祭が今年も東京にやってくる。公演は45分、その料金は最高で3千円。子連れでも楽しめる。常識を覆すコンサートが会場の丸の内や池袋を盛り上げる。

【写真】昨年のイベントの様子はこちら

*  *  *
 毎年ゴールデンウィークに行われるクラシック音楽の祭典「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」。1公演45分で、料金は3千円以下、そして子連れで楽しめる「0歳からのコンサート」も。クラシックコンサートの常識を打ち破る画期的なコンセプトが注目を集め、開催13回目となった昨年は3日間で40万人以上を動員した。

 フランスの港町、ナントで年1回行われるフランス最大級のクラシック音楽イベントの「東京版」。そもそも日本で開催しようと決めたのはなぜなのか。アーティスティックディレクターのルネ・マルタンは言う。

「ラ・フォル・ジュルネが開催される前の日本のクラシックコンサートと言えば、格式高いホールで行われるのがほとんどで、チケット料金も手が届きやすい、とは言い難かった。でも、そうした状況を見て、『既に音楽に魅せられている観客がいる。もしかしたらもっと広い聴衆が日本にはいるのではないか』と思うようになったのです」

 日本で出版されている、音楽に関する書籍に目を通したり、実際にクラシックの演奏会に足を運んだりするなかで、「この国では、何か新しいことができるはず」と確信したという。

 その予感は的中し、東京で初開催の年に足を運んだ来場者のうち、約7割はそれまでクラシックコンサートを一度も体験したことのない人々だった。

 冒頭に記した「0歳からのコンサート」は、本場ナントでも行っていない、日本オリジナルの企画。ちょっとした「勘違い」から生まれた。未来の聴衆である小さな子どもたちを招きたい、という思いがマルタンにはあった。「子どもといっても何歳くらい?」と日本側のスタッフに聞かれたマルタンは、「フランスでは、年齢は0~5歳、5~8歳、8~12歳で分けられるかな」と、何げなく答えていた。

「僕としては、5歳以上を対象にするのかな、くらいに思っていたら、彼らは『0歳から』と解釈していた。初日に大量のベビーカーを見てびっくりしましたよ(笑)。いつか、ナントでも実現できたら」

 マルタンは、ラ・フォル・ジュルネTOKYOを「どこかパイロット版みたいな存在」と表現する。日本の来場者の平均年齢は40歳。ナントより10歳若い。

「日本の若い世代を取り込むことに成功しているんですね」

 と言うと、

「まだまだこれからだよ。たとえば、レディオヘッドの音楽が好きだったら、ドビュッシーやラヴェルの音楽もきっと好きになると思うんです。もっと若い世代、特に20代を惹きつけ、『橋渡し』をしたいな、と」

 数年前まではベートーベンやモーツァルトといった一人の作曲家をテーマにしていたが、近年は「自然と音楽」「ダンス」など、大きなテーマを設け、若手ミュージシャンや現代音楽家たちを積極的に招聘している。今年のテーマは「モンド・ヌーヴォー 新しい世界へ」だ。

 じつは、マルタンは元ドラマーで、ロックやジャズが好き。そうしたバックグラウンドが、唯一無二の音楽イベントをより豊かなものにしている。(ライター・古谷ゆう子)

AERA 2018年4月30日-5月7日合併号


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