芸能人の独立トラブルはなぜ起こるのか(※写真はイメージ)
芸能人の独立トラブルはなぜ起こるのか(※写真はイメージ)

 芸能人の独立トラブルがよくニュースなどで取り上げられます。芸能界に民主主義は存在するのか? 芸能リポーターの長谷川まさ子さんに、うまくいく人といかない人とで、何が違うのか聞きました。

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 私が思うに、芸能界に民主主義はそもそも当てはまらない。タレントさんは「もの言う商品」ですから、芸能界ならではの特殊なルールが存在するのは致し方ないことです。

 独立トラブルのほとんどが、金銭問題と関係しています。かつてギャラの配分はタレントさん7対事務所3、すごく景気がよくて8対2だった時代もありました。景気が悪くなった今は、平均して6対4くらいでしょう。

 ところがタレントさんには、自分が何%の比率でギャラをもらっているのか知らない人が多い。そもそも芸能界では事務所と契約書を交わしていないケースが珍しくありません。そうした状況の中、タレントさんは人気が出るにつれ「こんなに働いているのだから、ギャラがもっと高額になってもいいのでは」と考えるようになります。「個人事務所を作って自分のところに入るようにしよう」と入れ知恵する親族も出てきます。

 一方、事務所側にも言い分があります。事務所はタレントさんが売れるまでに多額の初期費用をかけています。売れたら売れたで、個々にメイクやスタイリストが必要ですし、身に着ける衣服も高額になります。

 重要なのはタレントさんと事務所のスタッフが十分に話し合うこと。辞めるにしても、全ての仕事を引き揚げるのではなくCMだけは元の事務所を通す、元の事務所が取ってきた仕事に関してはマネジメント料を納めるなど「置き土産」をすれば、円満に独立できる可能性が高いでしょう。ところが特に近年は、タレントさんが非常にドライ。前触れもなく「次の契約更新で辞めさせてください」「弁護士を通してください」と独立を図る例もある。仁義を無視すれば、もめるのは致し方ないでしょう。

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