左からMISA(ベース)、小鳩ミク(ギター&ボーカル)、AKANE(ドラム)、彩姫(ボーカル)、KANAMI(ギター)。6月からは3度目となる世界ツアーも決まった(撮影/写真部・加藤夏子)
左からMISA(ベース)、小鳩ミク(ギター&ボーカル)、AKANE(ドラム)、彩姫(ボーカル)、KANAMI(ギター)。6月からは3度目となる世界ツアーも決まった(撮影/写真部・加藤夏子)

 フリフリのメイド姿の女の子が奏でる、ゴリゴリのハードロック。5人組のガールズバンド「BAND-MAID」が、国内のみならず、海外からも注目を浴びている。

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 すでに世界ツアーを2回決行。2016年3月に米シアトルで3千人以上の動員を記録したのをはじめ、世界8カ国9カ所のライブツアーで計7千人以上のファンを熱狂させた。

「私たちの最大の武器は“ギャップ”。外見も音楽もすべてに意外性がある。一度触れてもらえれば、そのギャップに驚いてもらえるはずです」

 ギター&ボーカルの小鳩ミクはバンドの強みをこう表現する。

 メイド服は、バンドの名前にも冠される重要なアイテム。メイド服という「記号」は、アキバ系のアイドルファンやクールジャパンに目ざとい海外リスナーからも受け入れられやすい。一方で、純粋なロックファンからは「イロモノ」として見られやすく、音楽的な評価をされる前に拒絶されるリスクもある。バンドの「戦略」について小鳩は、「どのファン層を狙おうという意識はありません。それよりも間口は広いほうがいい。メイド、カワイイ系という見た目から入ってくれてもいいし、視聴して激しい曲が気になったからという理由でもいいんです」とてらいなく語る。

 メディアでは、「ポストBABYMETAL」と評されることも多い。たしかに、キュートなルックスと激しい音楽性、海外からの評価が高いという類似点がある。だが大きく違うのは、BABYMETALがアイドルとメタルを融合させたユニットで、独特の世界観を表現する「フィクション」なのに対し、BAND-MAIDは、「リアル」なバンドである点だ。BABYMETALの楽曲は、手練のコンポーザーが作曲し、「神バンド」と呼ばれるプロミュージシャンが演奏する。一方、BAND-MAIDは、作詞作曲をほぼすべて自分たちで手がけ、演奏もメンバー自身がする。骨太なハードロック、メタル調の楽曲を確かな技術で表現できる演奏力と歌唱力も売りのひとつだ。

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