小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』4月号に掲載された、SNSで上手に伝える方法を堀潤さんが教えてくれる特別企画。SNS上で何かを伝える場合は、短い文章のことが多いと思いますが、作文やブログなど、どんな文章を書くときでも使える基本のテクニックを二つ、ご紹介します。

堀潤(ほり・じゅん)/1977年、兵庫県生まれ。ジャーナリスト、市民投稿型ニュースサイト「8bitNews」代表。「モーニングCROSS(TOKYO MX)」「JAM THE WORLD(J-WAVE)」など、テレビやラジオの出演多数。『SNSで一目置かれる 堀潤の伝える人になろう講座』(朝日新聞出版)を発売中(撮影/山本倫子)
堀潤(ほり・じゅん)/1977年、兵庫県生まれ。ジャーナリスト、市民投稿型ニュースサイト「8bitNews」代表。「モーニングCROSS(TOKYO MX)」「JAM THE WORLD(J-WAVE)」など、テレビやラジオの出演多数。『SNSで一目置かれる 堀潤の伝える人になろう講座』(朝日新聞出版)を発売中(撮影/山本倫子)

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■その1 起承転結の「転」を発見する

 みなさんは学校で「起承転結」を習いましたか? 文章をつくる際の構成順で、次のような意味があります。

【起】舞台を設定

【承】ストーリーが動き始める

【転】転換が起きる/変化が起きる

【結】ストーリーの結果・まとめ

<例文>
【起】感動の連続だった平昌五輪。毎日のようにテレビの前で声援を送りました。 【承】メダルを取った選手たちは決して順風満帆ではありませんでした。ケガや挫折を乗り越え、一心不乱に練習に打ち込んだことで、見事な結果につながったのです。 【結】「あきらめない」。選手たちの言葉が私に勇気をくれました。新学期から始まる1年がまた楽しみです。

 話の山場となる「転」がないと、少々メリハリに欠けます。自分だから発見できたこと、視点が変わるエピソードを登場させましょう。接続詞の「しかし」や「ところが」を入れるとわかりやすいでしょう。次の【転】を、前の例文の【承】の後に加え、比べてみてください。

<例文>
【転】ところが、大会後の選手たちの言葉を聞いていると、それだけではないと気づきました。「なぜ勝てたと思いますか?」。そんな質問に多くの選手がこう語ります。「自分を支えてくれた周囲の人たち、仲間たち、応援してくれた人たちのおかげです」と。力を合わせることで得られる結果がある、改めてそう思いました。

■その2 言葉を「分解」する

 もう一つのコツは、「うれしい」「悲しい」「楽しい」等のよく使われる言葉を避け、自分なりに言葉を「分解」してみることです。例えば、感情を表す「楽しい」という言葉は、実はさまざまな要素で構成されています。

【楽しい】
ポジティブ)明るい気持ち/心が躍る/希望を感じる
ネガティブ)最初は不安だった//それまでは退屈だった/緊張していた

<例文>
「人前に出て話すのは楽しかった」

「最初は緊張し、不安だったが、実際に登壇してしゃべり始めると、みんなが真剣に聞いてくれた。うなずきながらメモを取る人もいた。それを見ていたらなんだかワクワクし、心が躍ってきた!」

 一つひとつの言葉を「分解」していくと、新しい発見があったり、ストーリーが生まれたりします。感情を表す言葉だけでなく、「平和」「社会」「みんな」など抽象的な言葉も、自分なりに「分解」してみましょう。

※月刊ジュニアエラ 2018年4月号より

ジュニアエラ 2018年 4月 増大号 [雑誌]

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AERA編集部
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