今の中学3年生が高3で迎える2020年度、大学入試が大きく変わる。毎年50万人以上が受ける大学入試センター試験に代わって、「大学入学共通テスト」が始まるのだ。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞社会部・増谷文生さんの解説を紹介しよう。

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 グローバル化や人工知能(AI)の開発が進み、未来を予測するのは難しい。そんな社会を生きていくには、さまざまな人と議論して問題を解決する力が必要だ。そう考える文部科学省は、小中高校の教育内容を決める学習指導要領の改訂を進める。さらに「大学入試も変えないと改善は進まない」との意見が強く、共通テストの導入が決まった。

「思考力・判断力・表現力」を重視する共通テストの最大の特徴は、国語と数学の記述式問題の導入だ。小6と中3が受ける全国学力調査で知識を活用する力を問うB問題と似ている。

 センター試験は、すべての問題が選択肢のなかから答えを選ぶマークシート方式だ。だが、共通テストの国語では、文章からポイントを抜き出して、決められた字数のマス目に答えを書く問題が出る。数学には、問題を読み解いて数式を使った説明を書き込むものもある。

 昨年11月には、事前に問題点を見つけようと、英語を除く5教科11科目の試行調査が行われた。約18万人の高校生が参加。資料から情報を抜き出し、それを組み合わせて考える問題で苦戦した生徒が多かった。

 英語の試験も大きく変わる。センター試験は「読む・聞く」の二つの力をみるが、共通テストは「話す・書く」力も評価する。一斉に実施することは無理だとして、民間試験を活用する。想定されているのは、「英検」や「TOEIC」といった試験。高3の4~12月の間に2回まで受験でき、その結果を使う。

 共通テストでは、学んだ知識を使って、実際に生活の場面で考えたり表現したりする力が問われる。複数の資料や長い文章を読み解いて答える力も求められるため、本や新聞を読んだり、学校以外のいろいろな体験をしたりすることも大事になる。(解説/朝日新聞社会部・増谷文生)

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増谷文生
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