ステージを去る直前、会場に向かって“生声”で「ありがとうございました」と叫んだ羽生。ファンも「ありがとう」と一斉に応えた(撮影/加藤夏子)
ステージを去る直前、会場に向かって“生声”で「ありがとうございました」と叫んだ羽生。ファンも「ありがとう」と一斉に応えた(撮影/加藤夏子)

 平昌五輪の感動の金メダルから2カ月。羽生結弦が、影響を受けたスケーターたちとともにリンクに帰ってきた。4月13〜15日、武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都)で開催されイベント「Continues~with Wings~(コンティニューズ・ウィズ・ウィングス)」に登場。羽生は自らこのイベントをプロデュースし、サプライズなどでファンを大いに喜ばせた。

【写真特集】イベントの様子はこちら

 会場を大きく沸かせたのが、スケート解説者である佐野稔と一緒に、羽生自身のテクニックを解説するコーナーだ。この日は、羽生が得意とするイーグルからのアクセルジャンプについて、無良崇人が代わりに実演することに。「実はこれまで一回も成功したことないんだよ。超怖い……」と語る無良に、「頑張って!」と羽生。無良が無事に技を成功させると、会場から大きな拍手が起こった。

 さらに、子どもからの質問コーナーでは、5歳の女の子から「宝物はなんですか?」と聞かれ、「(くまの)プーさんのティッシュケースです」と優しく回答。

「ダブルサルコーのフォームを見てほしい」という9歳の男の子のリクエストにも応え、「ジャンプはタイミング。頭の中で1、2、3と数えながらやるといいよ」と、腰をかがめて子どもの目線でアドバイスした。

 平昌オリンピックのショートプログラムを、羽生の解説とともに振り返るコーナーも。「音楽が始まってから15秒動かなかったのは、最初のジャンプ、4回転サルコーのイメトレをしていたから」。ステップに入る前は、客席の歓声で、音楽がほとんど聞こえていなかったそう。

「何回も聴き込み、何回もイメトレしてきた曲。頭の中では音楽が鳴っていて、耳ではお客さんの歓声が聞こえるという不思議な状況でした」

 ツイッターからの質問「ケガをしてからの3カ月間、大きな不安を抱えた中で、どう心を保っていたのか」にも答えた。

「足が治らなくて、心が不安になることはたくさんありました。でも、不安は不安で抱えたまま、乗り越えるしかないと思った。強くないんですよ、僕は。精神的な弱さを知っているからこそ、それをクリアしたいと常に思っています。昔からケガも病気も多いけれど、そのおかげで、研究の時間を多く取れている。そういうすべての出来事がうまく作用して、連覇が達成できたんだと思います」

次のページ