「1位はエジソン、2位がコロンブス、というなかで86位という快挙です。このことをきっかけに日本でも『北斎、すごいじゃん!』と再評価されるようになった」

 五味さんは北斎の一番の魅力を「庶民の暮らしを描いたところ」だと分析する。

「日本人がブリューゲルが好きなのと同じです。彼の絵には中世の村の暮らしが細かに描かれていますよね。人の営みを見るのは、やっぱり楽しいものなのです。同じ浮世絵師でも、歌川広重は風景しか描かないし、写楽や歌麿はポートレートや役者絵しか描かなかった。庶民を描いた絵は、やはり北斎が一番なのです」

(ライター・中村千晶)

AERA 2018年4月23日号より抜粋