「高級車を買った時、メンター的な方に『おまえ、自分に金使っているようじゃのびしろねえな』と怒られた。自分の力やお金を何に使うのかということを考えるようになりました」

 その視点を持つと周りのものの見え方が全く変わるという。主観カメラから客観カメラへ。急に視野が広がった。客観性を持つことで、自分の主観を普遍的な言語に翻訳できるようになり、全く違う世界の人とも話ができるようになった。

「女性から学んだほうが、素直に学べます。間違いないです。男って自分の型にはめたがるけど、セックスも人の性格にも正解がないから、型なんかに絶対にはまらないんですよ」(しみけんさん)

 達人たちの話からおぼろげながら見えてきたものは、不測の事態への対応力(天明さん)、言葉の展開力(ねづっちさん)、形式知と暗黙知の総合力(吉笑さん)、共感能力から導かれる客観力(しみけんさん)。これらに、AIをしのぐ読解力を手に入れるヒントがありそうだ。(編集部・小柳暁子)

AERA  2018年4月16日号