研修を実施する背景には、本郷秀之社長のある懸念があった。

「最近の新入社員は真面目だが、『正解は一つ』という教育を受けすぎている。でも、ビジネスの正解は一つじゃないんです。何が正しくて間違っているのか、自分で考えられるきっかけをつくりたい」(本郷社長)

 研修は1年間で、毎月1冊のマーケティングに関する課題本を読み込み、その内容に沿って成功している企業を論じたり、成功するための仮説を立てたりしながら、起業家感覚を養っていく。研修を始めた当初は、「どんな仮説を立てたらいいんでしょうか」といったメールが本郷社長に届くことも。つい「こうすれば?」と言いたくなるが、ぐっと我慢。自ら調べ、仮説を立てる習慣ができると変わってくるという。本郷社長は言う。

「今後、多くの単純作業はAIに代替される。それでいいと思います。でも、新しいゲームのルールをつくるような発想はAIには当分できないはず。思考力は、20代から鍛えれば身につく能力だと思います」 (編集部・市岡ひかり

AERA 2018年4月16日号より抜粋