その日のうちにメンバー全員に「うちのチームは下から上へのパワハラが多いので気をつけるように!」というお達しメールが届いたという。

 そのほか、個人情報の記された書類を出しっぱなしにして帰る、昼休みの当番も無視して出かけるなど、あまりにも“フリーダム”。

「業務に差し支えるのでと、やんわりお願いするんですが、すぐに機嫌を損ねてしまうんです。どうしたら怒らせずにわかってもらえるのか。言葉を尽くすのにも疲れました」

 一方で「人に濃密にかかわらなくても生活できるようになったために、人の迷惑がわからなくなってきているのでは?」と考える人も。静岡県の会社員、堤啓暢さん(55)は話す。

「海外に行ったときに感じたのですが、買い物や食事に出かけると、価格交渉など、身ぶり手ぶりで必死に伝えようとする。でも帰国したら、一日中誰とも話さない日もありますよね。買い物はネットで済みますし」

 人とのコミュニケーションが減るにつれて、相手が何を迷惑と感じ、何に困惑しているのかを理解する能力も下がってきているのかも、と分析する。

(ライター・浅野裕見子)

AERA2018年4月16日号より抜粋