こうした運転特性を評価する技術を活用し、損保ジャパン日本興亜は18年1月、国内で初めてドライバーの運転特性に連動して保険料を割り引く「安全運転割引」を導入した。

 もともと自動車保険では、無事故の期間が長いほど保険料が安くなる等級のしくみが確立しているが、新規で加入する場合は一律で、6等級や7等級といった割高な保険料で加入しなければならない。同社の割引はこうした層を対象に、専用のスマホアプリで運転傾向を診断し、その診断結果で保険料を最大20%割り引くしくみだ。アプリは誰でも無料でダウンロードして利用でき、ハンドリングやブレーキ操作などの運転特性を診断できるほか、カーナビ機能も搭載している。

 保険を活用できるシーンそのものも拡大している。きめ細かな保障ニーズに少額から対応する「オンデマンド保険」の台頭で、これまではカバーされなかった局面でも保険が活用できるようになってきた。

 大阪市のベンチャー企業ワランティは17年11月、東京海上日動など大手損保会社を引き受け会社とするオンデマンド保険アプリ「ワランティナウ」をリリースした。高価なデジタルカメラなどに24時間単位で、1日30円台から保険をかけられる。旅行の際など、必要な日数に絞って補償を受けられる。

 1日単位で加入できる自動車保険も登場している。三井住友海上の「1DAY保険」はセブン-イレブンの店頭で、1日500円から最大7日間加入できるので、友人などから車を借りた際に便利だ。

 携帯各社もスマホなどの端末から手軽に加入できる、ゴルフやレジャーなどに特化した保険を提供している。

 損保ジャパン日本興亜は、世界で初めてオンデマンド保険を開発した米シリコンバレーのベンチャー企業トロブに出資し、国内での新サービス展開の検討を進めている。(ライター・森田悦子)

AERA 2018年4月9日号より抜粋