小島慶子(こじま・けいこ)/タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族のいるオーストラリアと日本との往復の日々。近著に小説『ホライズン』(文藝春秋)。最新刊は『るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記』(講談社)
小島慶子(こじま・けいこ)/タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族のいるオーストラリアと日本との往復の日々。近著に小説『ホライズン』(文藝春秋)。最新刊は『るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記』(講談社)
日本でも流れ着いたごみを拾い、分類して集計する活動が広がっている=横浜市金沢区 (c)朝日新聞社
日本でも流れ着いたごみを拾い、分類して集計する活動が広がっている=横浜市金沢区 (c)朝日新聞社

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

【日本でも流れ着いたごみを拾い、分類して集計する活動が広がっている】

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 私が家族と暮らしている西オーストラリア州では、今年の7月1日からレジ袋が使えなくなります。もちろん環境に配慮してのこと。海洋汚染の原因となるプラスチックごみを減らそう、という取り組みです。

 我が家も、便利さよりも環境対策を優先することには納得です。7月以降は、買い物には布袋などや段ボール箱を持参することになります。

 最近ニュースでよく見る「マイクロプラスチック」。化粧品や歯磨き粉などにスクラブ剤として含まれる微小なマイクロビーズや、あるいはレジ袋などのプラスチック製品が紫外線や波風などで劣化してバラバラになってできた5ミリ以下のプラスチック片のことを指し、これらが海洋生物の体内に取り込まれているというのです。

 それだけでなく、私たちが食卓で使う塩や、水道水にまで目に見えないほどの微小なプラスチック片が入っていることが判明。これは衝撃です。人体への影響などはまだ不明なものの、ここまで微小なプラスチックは回収しようがなく、汚染の広がりを未然に防ぐしかありません。

 そんな中、オーストラリアの研究で、オキアミがプラスチックを消化することがわかったというニュースが! ただ完全に消化するわけではなく、残りがより小さい粒になって環境中に排出されるので、かえって生物の汚染が広がるという懸念もあるようです。来世はシロナガスクジラに転生を希望している私としては、クジラが、主食のオキアミごと大量のプラスチックを食べていることも心配です。

 少し前にはレジ袋を分解する蛾の幼虫が話題になりましたが、虫に食べさせるより、プラスチックの再利用を進めたほうが効率的という意見もあるようです。

 巡り巡って我が身に返るマイクロプラスチックごみ。過剰包装大国日本もそろそろ脱ポリ袋・レジ袋に舵を切ったほうがいいかもしれません。

AERA 2018年4月2日号

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小島慶子

小島慶子

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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