3月22日、国会内で記者団の取材に応じた池田佳隆氏。「地元の懸念を届けるのは当然」と関与は認めたが、記者団の質問は受け付けなかった (c)朝日新聞社
3月22日、国会内で記者団の取材に応じた池田佳隆氏。「地元の懸念を届けるのは当然」と関与は認めたが、記者団の質問は受け付けなかった (c)朝日新聞社

 前川喜平・前文部科学事務次官が名古屋市立八王子中学校で講演をした翌日の2月17日、同じ名古屋市内である国会議員の講演があった。文科省による講演調査の発端となった自民党議員の一人で、党の文部科学部会長を務める赤池誠章参院議員(比例)だ。文科省は当初、「外部からの問い合わせ」と議員の存在を隠していたが、赤池氏に加え、同部会長代理の池田佳隆衆院議員(比例東海)から照会があったことを明らかにした。永田町関係者は話す。

「名古屋を地盤とする池田氏は複数回文科省に問い合わせ、説明を求めている。そもそも思想信条の異なる前川氏を面白く思わない上に、地元紙の扱いが上司にあたる赤池氏の講演より前川氏が大きく、それが火に油を注ぐ結果になったようだ」

 問題発覚から約1週間、行方をくらました池田氏。ある名古屋市議がその心中を察する。

「地元では安倍政権の成果を熱く語る安倍シンパ。森友問題で追及される安倍首相に余計なダメージを与えることになり、合わせる顔もないでしょう」

 池田氏は日本青年会議所(日本JC)会頭を経て、2012年の衆院選で初当選。

「道徳教育などで文科省に不信感を持つかなりの右派」(文科省関係者)で、憲法改正にも積極的な立場だ。日本JC自体が憲法改正を目指しており、12年には憲法改正草案を発表。「個別的および集団的な自衛権を行使することができる」「軍隊を保持する」などとうたった。国民投票を見据えて、市民参加型の討論会を全国で実施。日本JCの機関誌「We Believe」(18年2月号)では首相官邸で安倍首相に憲法改正を含む政策提言をしたことがレポートされており、こう結んでいる。

「物言わぬ大衆である賛成派の意識を変革し、投票所までいざなうことが日本JCの使命である。2018年度こそ、日本人が自らの手で日本国憲法を改正し、自主自立国家日本を取り戻す勝負の年である」

 そんな改憲への思いが強すぎたのか、ツイッターには右翼を連想させるキャラクター「宇予(うよ)くん」が登場。JC関係者が中国や韓国政府、メディアを名指しし、「バカ二国と国交断絶、もしくはミサイル爆撃したほうがいい」などと投稿を繰り返して、日本JCは謝罪に追い込まれた。

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