「変身タッチフォン プリハートDX」(オープン価格)。でんわモードの楕円形からハート形に変身できる(写真:バンダイ提供)
「変身タッチフォン プリハートDX」(オープン価格)。でんわモードの楕円形からハート形に変身できる(写真:バンダイ提供)
作画から忠実に再現された「カードコミューン 15th Anniversary Edition」が予約販売中(写真:バンダイ提供)
作画から忠実に再現された「カードコミューン 15th Anniversary Edition」が予約販売中(写真:バンダイ提供)

 アニメ「プリキュア」の玩具企画を担うバンダイ。初代から担当してきたメディア部の渥美真紀さんにヒット作のこと、時代によって変わるニーズなどを聞いた。

【写真】作画から忠実に再現された「カードコミューン」

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 物語は東映アニメーションさんが作りますが、弊社としては玩具を通じてお子さんにどう遊んでほしいか、何を感じてほしいかという玩具に込めた思いがあり、それをどう作品のなかに取り込んでいくのか、早い段階から一緒に話し合って作品を作り上げています。私はプリキュア商品全体のブランディングを担当しています。

 初代プリキュアの変身アイテムがカードコミューンになったのは女の子にもカードで遊んでほしかったから。当時は完全にカードは男の子の玩具。でも「女の子ってこうだよね」というところからはずれたことを提案したかった。鷲尾プロデューサーのコンセプトと似たような思いが同時に出た感じです。社内では「女の子にカードなんて」という反対意見もありましたが、予想を超える大ヒットとなった。爆発的にヒットする商品はみんなの意見を平均化した商品じゃないな、と実感した出来事でした。

 プリキュアで一番売れるのはやっぱり変身アイテムです。それを“なりきりアイテム”と呼んでいますが、モチーフはその時代の女の子の憧れるもの。携帯電話やスマホ、最近は香水やコンパクトなどで、15年の変遷でいうとファッション性のあるものに憧れるタイミングが早くやってきているような気はしますね。

 一方で変わらずお世話アイテムも人気です。女の子は今も昔もお世話遊びが好きで、抱き人形の市場はすごくある。なりきりアイテムの中に妖精などをお世話する要素が入っていたのが、「フレッシュ~」のシフォン以降は、お世話する存在がぬいぐるみとなりました。今回のはぐたんもかわいくて大人気です。そういう意味で言うと、変身したい女の子もいれば、お世話をするのが大好きという子もいる。売れる商品を見ても、昔はみんなが持っているものを欲しがったものですが、今はそうじゃない。私の欲しいものはこれと言える個性の多様化とニーズの変化を感じています。

(ライター・大道絵里子)

AERA 2018年3月26日号