清水:その楽天の創業者、三木谷浩史会長も、「スポーツとビジネスは一緒だね」とおっしゃっていました。自分がスポーツだけをやってる時は正直、ピンとこなかったんですけど、引退後に起業してみて、ようやく実感できました。

石川:僕もすごく似てると思います。共通点は、一定のルールがあって、その中で勝ち負けが決まることです。

清水:ただ、よく経営者の方が言うのは、スポーツと違ってビジネスには「明確な1位」がない、と。

石川:何を「勝ち」と定義するかですよね。確かにビジネスの世界では「4年に1回のオリンピックで勝つ」みたいなわかりやすい目標は持ちにくい。でも、アスリートだって、本番は4年に1回とか1年に1回とかしかないわけで。残りの膨大な日々は、勝ち負け以外にどういう目標設定をするんですか。

清水:スケートの場合はもちろんタイムが目標なんですが、目標を達成するために僕は、練習を1週間単位で考えて集中力をコントロールしていました。ピークを毎週火曜日に持っていくようにリズムを作るんです。

石川:最近の研究で、人は1週間に1回くらいの頻度で認めてもらわないとやる気がなくなるということがわかってきた。

清水:面白いですね。それは脳科学の研究ですか。

石川:組織行動論という分野なんですけど、1週間単位じゃないとダメらしいんです。毎日やるとウザいし、月1回だと足りない。

清水:じゃあ僕の会社でも1週間に1回、「褒めるデー」を作らないといけないかな。

石川:ダメな時は怒ってもいいと思うんですけど、重要なのは「あなたのことをちゃんと見てるよ」ということを1週間単位で認識させることです。

清水:スポーツとビジネスの共通点で言うと、メンタルのコントロールというのもありますよね。1980年代の話ですが、スピードスケートの黒岩彰さんが、メンタルトレーニングをすることでどのくらい心拍数をコントロールできるのか、心拍数計をつけて試したことがありました。

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