モードを演じるのは「シェイプ・オブ・ウォーター」(ギレルモ・デル・トロ監督)で今年の米アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたサリー・ホーキンス。テレビドラマの仕事で一緒になって以来、プライベートでも仲良しだという。

「ゴールデングローブ賞のときも、SAG(全米映画俳優組合)賞のときも、現地から連絡をくれたわ。彼女は変幻自在に役になりきれる素晴らしい人。モード役は彼女が演じてきたどの役よりも“大人の女性”だったから、彼女にとっても新たなステップになったと思う」

 イラストレーター志望だったサリーは劇中の絵を自分で描いている。

「ただ彼女は『これだ』という地点に到達するのに時間が必要で、今回も素朴派の絵画クラスにも1年通っていた。そういうところはユニークね」

 映画はある奇跡も生み出した。

「モードに実の娘がいるというエピソードが登場するけれど、あれも実話なの。ただ映画と違って、モードは自分の娘を見つけることはできなかった。でも今回、モードのひ孫にあたる女性が見つかったの」

 モードの娘である祖母はすでに亡くなっていたが、女性は映画を見て「とても感動したし、モードのひ孫であることをとても誇らしく思う」とメールをくれたそうだ。(ライター・中村千晶)

AERA 2018年3月12日号