西郷:子孫としても、歴史に興味を持つ人が増えて、地元の薩摩が盛り上がってくれたらうれしいですね。

──注目しているポイントはありますか。

川路:川路利良を誰が演じ、どう描かれて物語に絡んでくるのかは気になります。川路は、作品によって描かれ方がかなり違います。ともすると悪役に描かれることも多いので、「西郷どん」で新たなイメージが広がればと思います。

坂本:龍馬は格好いい人が演じることが多いんですよ(笑)。「龍馬伝」では福山雅治さん、「JIN─仁─」では内野聖陽さん。福山さんも素晴らしかったし、内野さんは高知人も驚くくらい高知弁がうまかった。今回はどなたが演じるのか、楽しみです。

西郷:私は隆盛の人生のなかで、命をかけてどう明治維新まで進んでいくかという流れが特に好きです。先日、隆盛が2度目に流された沖永良部島に講演に行きまして、復元された牢も見てきましたが、ほぼ野ざらしでした。隆盛はフィラリアにかかり痩せて、けれども島民たちの温かさにも触れる。その時に出てきたのが、今も残る「敬天愛人」につながる、「敬天愛民」という考え方です。

坂本:隆盛は義に厚い人ですよね。龍馬を思ってくれていて、龍馬が死んだ後はお龍のことを親身に心配してくれました。

西郷:戊辰の役のときに庄内藩を助けたのは、島津の郷中教育の思想も礎にあったと思いますが、沖永良部に流されたときの経験も大きかったと思います。庄内藩はその対応に感じ入って、『南洲翁遺訓』ができるんです。

AERA 2018年3月12日号