稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年、愛知県生まれ。元朝日新聞記者。著書に『魂の退社』(東洋経済新報社)など。電気代月150円生活がもたらした革命を記した魂の新刊『寂しい生活』(同)も刊行
稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年、愛知県生まれ。元朝日新聞記者。著書に『魂の退社』(東洋経済新報社)など。電気代月150円生活がもたらした革命を記した魂の新刊『寂しい生活』(同)も刊行
鍋にご飯を入れたおじやも大好物。猫飯とも言うが、それほど広く愛される間違いない味(写真:本人提供)
鍋にご飯を入れたおじやも大好物。猫飯とも言うが、それほど広く愛される間違いない味(写真:本人提供)

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

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 先日の読売新聞に「我が家は週5日鍋ですが、これって手抜き?」というお悩み相談が掲載されていて、思わず食べていた湯豆腐を噴きました。

 いやー自慢じゃありませんが私、この冬、夕食は週7日鍋でした。そう、毎日鍋!

 だって鍋って本当に素晴らしいんだもん。そこらにある材料を切って入れて煮るだけでできちゃう。よく考えてみりゃネーミングすごいよね。「鍋」ですよ! これって食べ物じゃなくて道具の名前です(笑)。しかしこの名前が象徴するように、鍋さえあれば何の悩みもスキルもなしでおいしく作れちゃうのがすごいところ。

 そう、手抜きだからこそ鍋って素晴らしい。材料は適当だからバリエーション無限、残り野菜も消費できて栄養バランスも完璧だし、どんなお酒とも合うし、自分の好きなものを好きなペースで食べられるし、そして何より、暖房がなくともあったまる!……などなど総合的に考えまして、私53歳にして、冬は鍋以上においしいものはないという結論に達したのです。これ以外のものを食べる理由が今のところ全く見当たりません。

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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