竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増社長の趣味である「釣り」とビジネスは通じるところがあるという(※写真はイメージ)竹増社長の趣味である「釣り」とビジネスは通じるところがあるという(※写真はイメージ)
「コンビニ百里の道をゆく」は、40代のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 私の趣味のひとつに「釣り」があります。釣り糸を垂らして海に浮かんでいると、頭がリフレッシュするし、釣った魚は料理して家族に振る舞うこともできる。まさに一石二鳥の趣味です。

 釣りを始めたのは小学校低学年。最初は近くの池でフナを釣ったりしていたのですが、高学年になると漫画『釣りキチ三平』の影響でさらに夢中になりました。ルアーフィッシングも始め、お年玉で投げざおやリール、クーラーボックスなどを買い、週末は始発に乗って兵庫県の明石港などに通うようになりました。

 とはいえ子どもの遊びなので、全くと言っていいほど釣れません。明石の商店街でカレイを買って帰ったこともありました。両親は気づかないフリをしてくれましたね(笑)。

 中学生になるとパタッと熱が冷めて釣りざおに触らなくなったのですが、三菱商事時代、米国駐在から戻ってきてから再開しました。

 出向したインディアナ州は海がなかった。当時5歳だった長男と海で遊ぼう!と三浦半島の金田湾などで手こぎボートに乗って釣りをするようになりました。休日にはキャンプ場でテントを張って、息子と一緒に釣った魚を料理して食べる。私にとっても貴重なリラックスタイムでした。

 実は、釣りを再開したもう一つの理由は「現実逃避」です。米国からの帰任先は営業ではなく広報部。経験値だけでは対応しきれない異なる業務を担当することになって、「休日は頭をからっぽにしたい」と思ったのです。

 でも、しばらくすると向上心が湧いてきて、釣れている人のさお、仕掛け、釣り方をまねて研究し始めた。ビジネスと同じように仮説、実行、検証を繰り返すうちに、時には、乗合船で一番の「大物」が釣れるようになりました。

 手を替え品を替え、工夫をして、相手の反応を見て改善を重ねる。釣りはいまの仕事に通じます。そして、もう一つ。双方に通じるのは「好きこそものの上手なれ」。釣りも仕事も、好きなんです!

AERA 2018年3月12日号

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竹増貞信

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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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